2000年3月末現在のつくば学園都市の韓国・在日人口は1,144名。(つくば市役所調べ)市内にある筑波大学は外国人の博士号取得に関し、教授陣が日本人学生と差別しない自由な校風のため、東京都内からの外国人進学移住者も多い。そして、つくばの街もKOREAがある街。一時隆盛した韓国のあやしい風俗店は摘発をうけ、土浦方面に引っ越していき、今は健全な韓国食堂兼居酒屋、韓国パブだけが残る。そんなつくば市の韓国食堂兼居酒屋7店舗中、一番おいしいと人気の店、「韓国の味」を紹介します。 |
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1.ママさん(キム・ジャさん)とお店の経歴
わたしはソウル近郊、港町仁川の出身で、大学では教育学を専攻していました。そこで主人に出会い、彼の熱烈なラブコールにほだされて結婚しました。結婚当初、主人は韓国で大学講師をしていましたので生活になんら不安も不満も感じていませんでした。でも、ある日、主人が一念発起して日本で博士号をとると言い出したのでそれからが大変。わたしの両親、親族は主人の単身赴任を主張し、家族の日本行きには猛反対でした。わたしは主人に"とても愛されて"という形で結婚したので、(笑)ここで日本についていかなければ、その愛情に答えることができないと思い、1989年4月、まだ小さい子供2人をつれて家族の反対をおしきり、断固として日本行きを決行しました。お店は主人が筑波大学の大学院に進学し、しばらくした1997年1月1日に開店しましたので、もう4年5ケ月たちましたね。開店したきっかけは私がもともと料理が大好きで、友達においしいものをごちそうするのがなにより楽しくて、専業主婦はイヤ、なにかしたいという性格からです。お店の名前もつくばの人々に韓国の味を提供するという素直な意味で「韓国の味」にしました。 |
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2. 味へのこだわり、営業の工夫
物質的便利さでは日本と韓国は大差なく違和感はなかったのですが、食べ物に関してはいつも不満で、まるでなにもない砂漠にいるように感じていました。日本で外食するとミッパンチャン(副食)がまずつきません。せいぜい、お新香が数切れ。主菜を食べて、口が飽きたり、ご飯が残ってしまっている場合、韓国人ならみな食べるのに困惑してしまいます。お昼をざるそば、かけうどんなど、単品ですませることは韓国人にとっては食の貧しさばかりか、心の空しさまで感じる民族気質ですかね、とってもガマンできないんです。当時は「ご飯と漬物でお茶漬け、さらさら〜」と簡素を尊ぶ日本の食の様式美を理解できず、「韓国人のわたしはなにを食べたらいいの!?」といつも自問していました。この答えが「韓国の味」をオープンした理由の一つかもしれません。「ミッパンチャンはお金をとらない」「ミッパンチャンは多彩に」これが韓国人の食の誇りであり、食の様式美です。韓国人による韓国式とは韓国本来の味とは、こーゆーことなんだと、つくばの日本のみなさんから理解を得たいと強く思いました。
初めての日本のお客様はうちのミッパンチャンを見てびっくりされます。「食べたら別にお金払うんだ」とビクビクされたり、わたしから「特別あつかいされている」と変な勘違いするお客さんとか。お店を開店して初めて、日本人とは、韓国人とは、と食を通し深く考えさせられたのも事実です。春はいろんな山菜、野菜が安く出回るのでいつも何種類ものミッパンチャンを料理するわたしは、「これを食べてよ〜!!」とウキウキ、とても高揚した気分になります。おすすめメニューのサムゲタン(参鶏湯)の鶏は日本の国産ものではありません。わざとアラブ地域からの輸入品の若鶏を使っています。肉はこぶりですが、味が濃厚で韓国の鶏肉に近い味だからです。3時間煮込んでも固くならず、やわらかいまま。これが日本の鶏肉だと30分も煮ると火加減してもどうしても固くなってしまいます。値段も国産ものとくらべて若干安いので助かっているし。仕入れで気張っているので、店はいつも赤字気味なのですけど、いい素材をもとめて遠いところでも車で3、4軒とでむきますし、営業時間を長くしてがんばっています。最初は応援してくれるどころか、「もうやめろ、やめろ、みっともない」としかいわなかった主人が、今はお店の繁盛ぶりをみとめて、手伝ってくれるようになったことがすごく嬉しいですね。 |
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3. お客様の層は?
ズバリ、日本の方が70%です。つくば大学で韓国関係を研究していらっしゃる学生さんや趣味で韓国語を勉強していらっしゃる方達のクチコミであっというまに日本のお客さんが集まりました。あとが、韓国の留学生さんたちなので、韓国人劣勢です。留学生さん!!もっときてね。(笑)
インタビューにうかがった日は、つくば韓国語教室「サークル・ケナリ」の宴会に遭遇した。<つくば韓国語教室
サークル・ケナリ(会長:中根睦夫)> 筑波大学の留学生である朴(パク)先生(4代目)を囲んでメンバーの方々とは大変興味深い韓国談義になった。なかでも大学でトウガラシを研究されている日本の方の話によれば、「トウガラシの辛い品種は優性遺伝種であるのに対し、甘いものは劣性遺伝種であるので一緒に植えると受粉してしまい、世代を経るごとに辛くなってしまう」というのだ。「では、日本から韓国へはいったトウガラシがなぜ甘くなったのか?日本と比べ甘みのある韓国のトウガラシを作る韓国の土壌成分にはトウガラシの遺伝子になにか影響しているのだろうか?」という学術的話にも発展し、こんな話ができるとはさすが、つくば学園都市にある韓国料理店だと感動。グルメな大家族のお客様といい、客層もきさくでいて品がいい。 |
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4. 最後に一言
日本における韓国料理の味についてですが、韓国本来の味への回帰が正統だという人もいるでしょうが、わたしはそれだけが唯一正しいことだとは思わないのです。1970年以降家庭に普及した日本の焼肉文化を独自の新しい文化だと思うからです。そしてこの焼肉文化の源泉にあるのは在日同胞の言葉につくせぬ苦労や意志の力だと思っています。未来の食文化というものは常に変遷、変化していくものです。日本でも、たとえ韓国でもそれは未知のものです。だからこそ、新しく創造し、定着させて自分達の歴史を作ることに重要な意義があると思います。わたしはわたしなりのやり方で韓国の味を極めていきたいですし、「韓国の味」を日本で極めることはわたしにとって食砂漠のなかにオアシスを作ることだと思っています。訪れる人の食と心を潤し、そして癒したいという気持ちでいつもお客様をお待ちしております。
つくばのオアシス「韓国の味」は、これからもずっと、グルメな探検隊の舌を充分に満たしてくれるだろう。 |
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5. 試してみたいメニューレシピ
韓国の夏至以降、夏バテ予防薬膳としてボシンタン(補身湯)と対峙するのがサムゲタン(参鶏湯)である。韓国ではサムゲタン類でも黒い羽、黒い皮膚の烏骨鶏を使ったオゴルゲタンが最高級のものであるといわれている。(白い羽、黒い皮膚の中国産も多数あり)
「サムゲタン」(3〜4人前:3,000円)
材料:
鶏1羽(すでに内蔵を取出してあるもの)乾燥朝鮮人参1〜2本、干なつめ3〜5個、ニンニク3かけ、もち米
カップ1杯、栗3〜5個、糸トウガラシ、錦糸卵、刻みネギ、味付薬味(塩、胡椒、)
レシピ:
もち米は洗って30分水につけておき、 乾燥朝鮮人参も水につけてもどしておきます。栗は、シーズンでない場合は栗の甘露煮を水につけ、その水を2、3回とりかえて砂糖の強烈な甘みをとります。鶏は水で全体を丁寧に洗い、このとき余分な脂身を取去ります。お腹の中の血も丹念に洗った後、お腹の中に、朝鮮人参、干なつめ、ニンニク、もち米、栗を詰めて、材料がでないように爪楊枝2、3本で縫うようにとめ、韓国の土鍋に約3lの水を鶏が完全に浸かるようにそそぎます。最初は強火で沸騰したら中火にして30〜40分。あとは弱々火で3時間〜4時間煮込みます。刻みネギをふんだんに入れ、糸トウガラシと錦糸卵を鶏の周りに円のように飾り、彩りをつけてできあがりです。韓国式では鶏の味付けはせず、味付薬味を小皿にいれてお客さまが自分で調味して食べれらるようにして出します。
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