韓国街と呼ぶほど組織だって大きくはない。韓国横町と呼ぶほどは集中していない。御徒町〜湯島一帯はニューカマーの韓国コロニー(集落)と呼んだほうがいいだろう。ニューカマーの味を守ってはや5年、上野で草分け的存在になりつつある味の店「アレンモク」。
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1.ママさん、スタッフの紹介とお店の由来
わたしは李ミジャ、料理アジュマも李ミジャ。(韓国は同音異義語の名前が多いで す。)主人は金タルボンといいます。主人と料理アジュマが全羅道の出身なので、料理の味
付けは全羅道スタイルで辛味がとっても強いです。アレンモクの向かいは主人がメインで韓国式中華料理をやっています。だから中華のメニューもアレンモクの裏メニュー(笑)としてあるんです。お店の名前は、これはちょっと辞書を引いてもでていない、スラングといったらいいのかしら?オンドル(床暖房)で一番あたたかい場所のことをアレンモクっていいます。韓国ではお客さんにはオンドルで一番あたたかい場所をすすめて座ってもらいますから、お客さん商売にはいいネーミングだろうということでつけました。結婚当初は主人が一人でアレンモクをきりもりし、わたしは専業主婦をしていたのですが、2年後に子供もどうにかあずけられるようになったのでお店を主人から受け継ぎました。 |
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2. ご夫婦のなれそめ?
主人が先に日本に留学していました。苦学生でしたから仕事もしながらで、仕事の関係で時々ソウルにきていたものですから、出会ってしまったのです。ふふふ。(笑)主人は日本で友達もあまりいなかったせいか、よく国際電話をかけてきてくれました。愛しているとか、プロポーズらしい言葉はありませんけど、「世界は一つ、ソウルと東京こんなに近いじゃないか。だから外国だって怖がらないで。別々に住むのはおたがいのためによくない。日本に来なさい。」といってくれました。もしかして男一人で住むのが面倒だったからかな?だまされたか?と後で思いましたけどね。(笑) |
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3. 上野という土地は?
外国人の勢力争いや事件の多発する新宿ほど住みにくくはありません。上野も外国人は多いですけど、住宅地域が多く、地元警察は住民の生活やプライバシーを重視しているので民事不介入のところがあります。「外国人だから、きっと悪いことをしているだろう?」とか最初から疑ってかかったりしないですね。最近は条例で一斉摘発にあった新宿の韓国屋台が規制のゆるい上野に引っ越してきたりしています。新宿とくらべて地代も安いし、韓国→成田→上野で交通の便は一本で楽ですから、上野は人の中継地でもあり、人の集まるところでもありますね。キムチ横町と呼ばれる東上野の在日の方々とは残念ながら、行き来がないので、別世界に住んでいるような感じです。それぞれ日本人とは交流しても、在日とニューカマー、お互いが閉鎖的なのかもしれません。過去から現在への歴史教育、育った環境も違いますから、仕方がないのかもしれないですけど。東上野のキムチ横町のキムチは現在、雑誌やテレビに取り上げられて、日本社会のなかで市民権を得ています。彼らの相伝の味全部にケチをつけるわけではないのですが、日本の生活環境下における相伝ですから、代を経るごとに
本来あるべきオリジナルなものからは離れていっているのではないかと思います。その例がキムチに使われる中国産のトウガラシです。値段も安く日本にはかなり輸入されているようで、気を付けて味をみると、韓国産とくらべて、辛味だけが強く、かすかな苦みやえぐ味があります。中国産は日本で手に入れやすいということもあるでしょうが、われわれはその年に収穫された韓国産トウガラシを目の前で挽いて、一番いい新鮮な状態で使うわけですから、こういったことからも味の格差はでてきます。キムチについて、わたしたちニューカマーは、いい意味でも悪い意味でも、そこまでこだわる?!本場の濃いものをもっていると思います。在日とニューカマー、なにか交流するきっかけでもあればいいのですが。在日の方にも、ニューカマーにも共通の経済効果としてフィードバックするなにかがあればいいんですよ。上野の「ふるさと名品」ということでキムチや韓国食品をキャンペーンし、在日・ニュカマーそして日本人が一致団結して町興しするとか?いいチャンスなんじゃないかと思うのですけどね。どうでしょう? |
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4. お店での苦労
韓国では「もうこれ以上食べられないぐらいたくさんいただきました」という意味で食べ残す習慣があります。ですから、全部キレイに食べると「足りない」という意味になりますので、お料理を出す側は「足りない!?うちはケチと思われるかしら?」などど考えて恥ずかしく思います。そういったこともあって、韓国人は自然自然に盛りが多くなってしまうのですね。この点では店でよく主人とケンカになりました。 わたしが主人に「なんで多く出すの?」
主 人「韓国料理はたくさんだすものなんだ!!」わたし「ここは日本なんだから日本式に少しづついろんなものをだして味を楽しんだほうがいいでしょ。そのほうが売り上げもあがるでしょうに!!」主 人「そんな…料理、1つ、2つでケチケチ計算高くなるなよ!」わたし「あんた、日本のビジネスわかってんの!!(本当はわたしもわかってないけど)」主 人「………・・(無言だけど、怒った顔)」まぁ、こういったやりとりがよくあって、時には、わたしの育児疲れとか、子供の教育問題とか、他の問題に飛び火して大ゲンカになったこともあります。今では、お店でだす量は一定量に定着しつつあって、韓国式と日本式の中間的な量ですね。また、お店ポリシーは、ニューカマーたちに「せめて一日に一食ぐらいは韓国料理を食べてがんばってほしい」という気持ちで本場の味をつらぬいています。当然お客様はニューカマーが多いですけど、韓国料理の辛さになれていない日本のお客さんには悩みます。インド料理の辛さ、タイ料理の辛さそれぞれ違うように韓国料理の辛さも全然違います。ですから韓国料理にタイ料理で使うタイのトウガラシの辛さを期待してもそれは無理です。トウガラシの種類が違いますから。また「辛くて食べられないよ〜」といってお客様が料理をほとんど手つかずで残された時にはガックリきます。うちは辛味の強い全羅道の味付けですけど、辛いのが苦手なかたは前もって料理が辛いかどうか確認された上で、「あまり辛くしないでくれ」ってはっきりいってくれる
と助かります。 |
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5. 最後に一言!!
日本人の食に対する興味はつきることがなくすっごく貪欲ですね。その特徴として、彼らは美食のなかにも新奇なものをもとめています。キムチチゲがチゲ鍋という名称でこんなに流行っているのも、チヂミが定着したのもそのためです。日本の焼肉のルーツである韓国・朝鮮の伝統肉料理や、韓国で一般的に親しまれている副食、韓国料理のもつ薬膳効果などへの挑戦もしてほしいです。
アレンモクの料理の生鮮材料はアメ横市場で仕入れているので、海の幸は新鮮、お肉もいいものを安く手に入れているようだ。そのためメニューの品数は多く、値段も安い。スペシャルメニューに、「ヒラメサシミセット」というのがある。ヒラメをまる一匹、酢コチュジャンで食べる韓国式お刺身、副菜が7品目、ヒラメのアラで作るメウンタンという辛いスープがついて、8,500円。5,6人で食べられるので、頭割りすると絶対安い!!お店の1階は通路兼カウンター席でうなぎの寝床状の狭い作りだが、2階は韓国からわざわざもちこんだの電気オンドルの部屋になっていて、壁はお客さんの出入りの多さなどでちょっと煤けてはいるが、韓国の本場の食堂らしくて落ち着く。上野のニューカマーの店のなかでピカ一の味と品揃え、メニューの日本語の誤字脱字も多いが、それすらも笑ってくつろげるディープKoreaなお店だ。
※平成13年3月にアレンモクはファンのお客様の声援をうけて店舗内装をリニューアルしています。 |
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6. 試してみたいメニューレシピ
スユクを食べると、かならず、韓国焼酎で一杯やりたくなる。口のなかに広がる豚肉の滋味とヤンニョムの辛味を甘い韓国焼酎がさらなるおいしさに高めるからで、ここに韓国料理のマジックがある。韓国家庭料理でおなじみのスユクは古く韓国の宮廷料理にまでさかのぼる。文献からも、本来は熟肉と書いてスクユクというが、俗語の当て字から、水肉(スユク)とも呼ばれている。肉をたっぷりとした水でゆでるイメージからこういった風に呼ぶのだろう。アレンモクのスユクで注目すべきことは、2人前でもゆうに4,5人前はある肉と豪華な具のヤンニョムで、とにかく「馬が食べるんじゃないんだから…さ。」と困惑しつつも、全部食べられてしまうこと。しかし、おかげで、焼酎の量もかなりすすんでしまうから注意が必要。
「韓国焼酎の友、スユク」(2,000円)<4人前>
材料(4人前):
スユク:豚ロース肉600g、水10カップ程度、醤油大さじ1杯、みそ大さじ2杯、
(香味野菜:生姜1塊、タマネギ1個、ネギ1本、ニンニク1塊)
ヤンニョム:
ダイコン1/2本、ニンジン1本、ニラ1/2束、セリ1/2束、生牡蠣1パッ ク、梨1/4個、リンゴ1/4個、ニンニク3片、青トウガラシ1本、ネギ1本、トウガラシ粗挽き大さじ2〜3杯、砂糖大さじ1杯、ゴマ少々
辛味ペースト:トウガラシ中挽き半カップ、アミの塩辛大さじ1杯半、イワシの魚醤エキス大さじ1杯半、おろしニンニクと生姜少々、米粉(大さじ1杯を湯半カップでとき、よくねる。)
塩漬け白菜:白菜半株に対して粗塩半カップが目安。水5カップに粗塩をいれてとかし、白菜を漬けて一昼夜おく。翌日塩分を食べて確認しながら水洗いし、水気をよく切る。
(*塩漬け白菜はキムチ用の下漬けと同じ作り方でいいが、上記は別に作る場合)
レシピ:
豚肉は型くずれしないようにタコ糸で全体をきっちりギュッと巻く。寸胴鍋に豚肉、香味野菜をいれて水をそそぎ、強火→醤油、味噌をいれて中火で40分程度ゆでる。途中アクをこまめにすくう。常に肉にかぶるぐらいたっぷりと湯が必要なので、鍋に少なくなったら湯を足す。豚肉を串で刺して中までやわらかく通り、濁った肉汁がでなければ火を止める。豚肉をとりだし氷水にひたしながら、余分な油や肉についたアクをとりのぞく。ふきんで水気をとり、タコ糸をはずし、7〜9mmぐらい、たっぷり大きめにスライスする。
アミ塩辛とイワシの魚醤エキスを足したものを火にかけ、煮汁に中挽きトウガラシをとき、おろしニンニク、おろし生姜、米粉を少々いれてヤンニョムの辛味ペーストをつくる。ペーストはさましておく。ダイコン、ニンジンは千切りにし、塩を少しふってしばらくおいてしんなりしたらしぼる。ニラ、セリはゴミや虫がついていることがあるので、気を付けて洗い、水気をとり、5〜6cm程度に切る。生牡蠣は塩水に酢をたしたものでよく洗い、水気をきる。辛味ペーストに粗挽きトウガラシ、砂糖、ゴマ、ニラ、セリ、生牡蠣、ダイコン、ニンジン、千切りのネギ、スライスしたニンニクと青トウガラシ、千切りの梨とリンゴをいれてまぜる。盛りつけには一枚の大皿に塩漬け白菜、スユク、ヤンニョムと三分割して盛りつける。塩漬け白菜を手で食べやすいように繊維にそって縦に裂き、この白菜にスユクとヤンニョムをのせ、サムで(巻いて)食べる。好みでアミの塩辛、サムジャン(サム用の付け味噌)をつけて巻いて食べたり、肉にそのままつけて肉だけの味を楽しんでもいい。生牡蠣のない季節は“イカの刺身”で代用するとあっさりしておいしい。 |