| 2003年3月現在で、お店は閉店しています。 |
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| 日本で韓国の味を頑なに守るのか、日本の味に媚びて韓国の味を失うのか?その狭間で揺れ、答えを探そうとしている韓国居酒屋がある。それは、武蔵新城にある韓国居酒屋「七(はちのまえ)」というお店。 |
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1.ママさん、お店の略歴とスタッフ紹介
七(はちのまえ)は平成11年3月16日にオープンしました。やっと1年とちょっとです。日本でも韓国でも、世界共通かしら?ラッキーセブンという意味で「七」という名前にしました。でも、七って読むと面白くない。韓国人はジョーク好きなので、七だから八の前でしょう?「はちのまえ」と呼ぶことにしました。おもしろいでしょ。わたくし、ママのジョナンと、料理アジュマのヘスクさん、留学生でアルバイトのミンスさんの女3人で「お城」を守っています。(笑)わたしは釜山にも近い馬山の出身ですけど、あとの2人は済州島の出身です。料理は基本的にわたしの指示のもと、ヘスクさんに忠実に作ってもらっています。時にはヘスクさんと一緒に時間をかけて試作したりもします。お運びはミンスさんが担当で、日本にきて1年ほどで
、日本の悪い言葉もまだ知らないし、日本語学校で上品で丁寧な日本語しか習っていませんから、接客にもちょうどいいんですよ。(笑) |
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2. お客さまの層
7月、8月の夏休み中、週末はご近所の家族づれのお客様が多くて、夕方7時から9時の時間帯は忙しく、わたしもお店の中を走っていました。9月半ば以降は、少し静かになって、もともとお客様、会社帰りのサラリーマンや、グルメ嗜好の年輩のご夫婦がみえたりします。おとなりの武蔵中原駅前にF通とか大手電機メーカーの川崎工場やO電気とかがあって、そこのエンジニアの方々で韓国とお仕事上関係のある部署のお客様が団体でみえます。そういった方は結構お仕事で韓国に何度も出張されていることが多くて、こちらも本場の味とくらべられますので、気が抜けません
。(笑)実は、この界隈には韓国家庭料理のお店って唯一うちだけなんです。確かに目立つのですけど、地元のみなさん、新宿や上野の都心と違って韓国家庭料理がどういったものかご存知ないのが残念です。武蔵新城の地元の方が味にうるさいのは本当で、おいしいお店は風のうわさになってわたしの耳にもはいります。しかし、新奇なものにはしりごみしてしまうようで、お店の前をいったりきたりして半年たってやっと、勇気をもってお店にやってきてくださったというお客様もいらっしゃいます。また、早い時間はお店の戸口をあけて掃除したり、わたしたちが食事をとっているのですが、じーっと店の前にたたれて、20分以上もお店をのぞかれて、こちらも声をかけていいのかどうか?迷っているうちに、帰られてしまうお客さまには、心の中で涙しています。地元のお客様にはもっと勇気をだしてチャレンジ精神できていただきたいですね。(笑) |
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3.お店の工夫
店構えをもうすこし、このままでいいのかな?なにがいいかしらと現在検討中です。それから一目でこんな感じの料理だとわかりやすいように店先に、写真もしくはサンプルを考えています。イメージとしては、従来の焼肉屋さんのような、「煙、油、臭う、チープ&ティピカル」な感じのディスプレイではなく、オシャレ感をだして若い人、特に若いOLさんのお客様を獲得したいと思っています。あとは、うちは焼き海苔に凝っていまして、市販のものは出しません。韓国海苔はニセモノブランドがでまわるほど、日本の方に人気がありますが、やはり輸入品だと日数を経る
うちにごま油が酸化してきてしまうので味が落ちます。ですから、お店でごま油をぬって一枚一枚手で焼き、焼きたてをおだししています。肉は横須賀の食肉市場の知人に頼んでこんな小さい店ですが、特別に調達してもらっています。そして肉料理のためにはあえて、圧力鍋は使いません。確かに圧力鍋を使えば短時間に肉が軟らかくなりますが、思ったほど味がしみこまないという欠点があるのです。横着しないで、自分で火加減をみながら、味をみながら、時間をかけること、それが一番おいしくできる秘訣です。韓国家庭料理のお店はうちだけですが、焼肉店はいろいろありますので、評判のお店にはかならず敵情視察ということで出かけていって味をチェックしています。特に同じメニューのものがあると食べてみて、こういった味付けが日本の方にうけるのかと、メモをとったりしますね。でも、いくら人気が
あっても、食べたあとで舌がひりひりするような化学調味料づくしというのは納得できません。 |
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4. メニューの工夫
当店特製のカルビチムには牛肉と大根の他に、松の実と干しナツメがはいっています。牛肉と大根だけも栄養があるのですが、松の実は味覚障害、高血圧、骨粗鬆症の予防、干しナツメは小ジワなどの老化防止、という薬膳効果も考えて、お客様の健康のためにおだししているのです。こういった薬効を、料理がだされた瞬間、お客様が興味をもった顔をされた時に、間髪いれず楽しく説明できなければダメなのだと思います。
医食同源でもある韓国料理をすこしでもわかってほしいという気持ちでいっぱいです。わたしの育った環境、年代からしても化学調味料というのがどうも苦手です。お店の料理の味付けの基本的ルーツは田舎の母の味です。子供のころから食べ付けた素材のシンプルな味をなるべくだそうというのがわたしのポリシーですが、それだけだったら、主婦としては合格でも、日本での商売としてはまだまだ、成り立たないのです。というのも、開店数ケ月にして、韓国の味を守るのか、日本人好みの味を追求するのか、どちらにしたらいいのか?お店は味の選択を迫られたからです。とても悩みました。
最初はなんのきなしに、韓国の本場の味をだして自信をもって商売すれば、いいやと思っていたのですが、実際のところ、ここはお客様の98%は日本の方なのです。当然、口に合う、彼らにとっておいしい、おいしくないという問題がでてきます。そういったことが客足にも、商売にも影響するとあっては、味付けを簡単に考えたらいけないと、恐れおののいたのです。
面白い失敗談があります。韓国ではよく食卓にあがりますけど、日本ではあまり食べないお魚、イシモチをチゲにしてメニューにだしていた時のことです。お客さまに、酔いざましにあっさりしたスープをだそうと思って作ったメニューですが、お客様から「味がない」と指摘され、わたしは「もともとイシモチがあっさ
りした味だからこんなものですよ」とチゲの味つけのことで押し問答になったのです。そこでわたしは、ピーンときて、「ちょっとまっててね」といってチゲを厨房に下げ、そのチゲに化学調味料のだしをいれて、あたためなおしておだししたのです。お客様は「うん、すごくおいしくなった」といって食べてくれましたが、お客
様に、この韓国独特のあっさりした味をわかってもらえなくてくやしかったのと日本の方がいかに化学調味料の濃い味に慣れてしまっているか驚きました。一方、これではお商売としてはペケだなとも思ってイシモチのチゲはメニューからすぐやめる決心をしました。いくら自分がいいと思っていてもお客様にうける味商売ということを考えれば、ひとりよがりのことって多々あります。そういったことをあっさりみとめて、あまり固執しないことが大切ですよね。もともと負けず嫌いではっきりした性格なので、その後も、韓国の本場の味がわからないために味にケチをつける(実はありがたいことなのですけど)日本のお客さんとも言い争いはたくさんしました。(笑)そして、そのお客さんたちは文句つけながら、あいかわらず、お店にきてくれることにも感謝しています。結局、お客さんとのやりとりのなかに、そして自分自身が悩んだ上に、ようやくお店のあるべき味についてなにかが、少しだけ見えてきたような気がします。
@韓国の本場のシンプルな味
A化学調味料をなるべく使わないで、日本のお客さんの口にもあう中間的な味
B日本のお客さん向け、独自のお好みメニューの開発
これらをそれぞれ念頭において難しいことですが、現在3部式メニュー作りに取組んでいるわけです。 |
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5. ママさんより一言
常連のお客様の応援と技術協力をいただいてインターネットのホームページを作成してみました。今後のIT社会の繁栄を考えると必要なものなのではと思います。お店の紹介や広告は今後インターネット上であまりお金をつかわないでも、頭をつかって充分効果がでる時代がくると思っています。それから、韓国料理の材料がいかに医食同源であるか、うちのメニューにあるものと照らし合わせて、お客様にわかりやすくご説明できるように、メニューの食品薬効一覧表を作成しました。ご希望のお客様にはさしあげています。最近は日本の人気テレビ番組などを見ても健康に対する意識が高くなりました。やはりみなさん、身体が第一ですよね。韓国料理を食べて健康になってほしいです。
「七(はちのまえ)」には誰が書いたのだかわからないが、(たぶん犯人は常連さんの一人だろう)カウンターの前におかれた招き猫の背中に、黒マジックで「おい!客がすくないぞ!」と叱咤激励の落書きがあり、すかさず下にはママさんの「はい!がんばります」と決意の書き込みがある。この招き猫の落書き、店のカウンターに腰をおろして座らないと、正面から店にはいっただけではわからないようになっている。この店をささえるファンの真心なのだろうか。 |
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6.「試してみたいメニューレシピ」
「驚きの珍メニュー・納豆チヂミ」(700円)
韓国の味に固執するあまり、日本のお客様に口にあわないのに無理に押しつけるのは欺瞞だと、考えるママさん。そこで、日本の方にも合う新しい味を模索しました。日本人の食生活に深く浸透している納豆を使って、身体にいい上質タンパク質、レシチンをお客様に摂っていただくためにも、試行錯誤し、その努力が開花した珍メニューです。
材料:
パックの納豆(小粒のものが口のなかで、ゴロゴロしなくて食べいいです)2個、小麦粉 大さじ 2杯、キムチ汁 大さじ 2杯、サラダ油 大さじ 1杯
レシピ:
納豆、小麦粉、キムチ汁をボールでまぜあわせます。よくあたためたフライパンにサラダ油をひき、先ほどまぜあわせた納豆のネタを平らにスプーンの底で丸く丁寧にのばします。焼いている途中、表面が乾いてきたら、おたまの腹でギュッと押して平らにします。おたまの腹になにもつかない状態までよく焼けたところで、ひっくりかえしてまた同じように押しながらよく焼きます。火加減は最初から最後まで弱火で時間をかけ
てじっくり、こがさないように焼くのがコツです。火加減が慣れないうちは3回に1回は失敗しますので練習してください。酢醤油にコチュカル、刻みネギをまぜて、付けタレにします。納豆は火を通すことにより、独特の粘りや強い臭いが消え、サクサク感がでて食べやすくなります。お店のチヂミ類は色合いと見栄えを考えて蕎麦ザルにのせてオシャレに出しています。 |