Q・この映画にどういった思い入れを感じていますか?
ユ・ジテ(以下、ジテ):最初、私とクォン・サンウさんがこの映画に出演すると決まったときに、私たち若い人間の持っている覇気や情熱を含めて、いい評価を得て認められたいという気持ちがとても強かったんです。たしかに世間の評価は人によって違うと思いますが、出来上がった今では評価よりもベストを尽くしたと思っているので、とても満足しています。ご覧になって気に入っていただければぜひ褒めていただき、気にいらなかった場合は、ぜひ批判をいただきたいと思います。
Q・この映画で長編作デビューの監督ですが、描きたかったテーマは?
キム・ソンス監督(以下、監督):この「美しき野獣」は、今、力が世の中を支配しているなかで運命的に出会う3人の物語になっています。スター俳優が出ている単なるアクション映画ではなく、私たちが生きている中で、守るべきことは何か?もう一度考えてほしいという気持ちをこめて作りました。私たちは生きている中で守らなければいけないのに忘れてしまいがちなことがたくさんあります。たとえば人を愛すること、人を守ること、家庭を守るということ、社会の法律や道徳や価値、それらは守るべきことですがなかなか守られていないので、私たちが今何を守ればいいのかを考えてほしいと思いました。
Q・世界でも活躍している音楽監督の川井さんですが、今回どのようなことを表現させようと思いましたか?
川井憲次音楽監督:今回監督から、「哀しみの音楽を」と言われました。アクションシーンを際立たせるものではなくて
、むしろ感情的な哀しみの表現をお願いされました。音楽的にはけっこう地味といえば地味ですが、内面にみせる哀しみを表現しました。
Q・監督へ、現場でのエピソードを教えて下さい
監督:サンウさんには本当に危険で難しいアクションシーンをこなしてもらいました。反対にユ・ジテさんは感情の表現がたくさんあり感情の起伏や幅がとても深かったので、そんな変化を表現するのが難しかったと思います。またユ・ジテさんは役作りのために10kgの減量をしてくれました。セリフの中には専門用語も出てきたのでとても難しかったと思いますが、部屋に防音装置を取り付けて練習するなどして本当に一生懸命してくれました。サンウさんは、以前から今回の映画についてファンの皆さんに“本物の演技をお見せしたい”と宣言して、その約束を守ろうという意欲に溢れていました。本当だったらスタントマンを使うべきところを全部彼が引き受けました。もし途中で事故に遭っていたなら今頃記事になっていたかもしれませんが、幸い事故もなく無事に撮影を終えました。
Q・ユ・ジテさんは“性格派俳優目指している”とおっしゃっていましたが、目指している俳優はいますか?
ジテ:私が目指したいと思ったのは、ユ・ジテという人間がひとつの商品となって、その商品を売るという企画に基づいた映画ではなくて、あくまでも“ユ・ジテ”というひとりの人間の演技そのものに期待をしてほしいという思いを込めて、性格派俳優になりたいと言ったことはあります。知的なオーラを持っている俳優になりたいと思っています。日本だったら高倉健さんや役所広司さんが好きですね。
Q・法を侵すことでしか正義を貫けないという結末にやりきれなさを感じましたが、なぜあのような結末にしたのですか?
監督:この映画の結末に関しては韓国でもいろいろな意見が聞けました。私の考えを一言で端的に言うなら「ウソをつきたくなかった」という一言に集約されると思います。私も韓国人として生まれてきましたが、私から見ても韓国社会の現実というのは、なかなか法や正義が守られていなくて残念に思うことがあります。その法を守る為に一生懸命闘争したり傷を負ったり挫折したり、そういう人たちの姿をたくさん見てきました。そういう人たちの言葉を代弁できるようなメッセージを込めたいと思い、ああいう結末にしました。暴力での解決というのは暴力しか残りませんが、どうしてこのような状況になってしまったのか?何が彼らをそうさせたのか?何が彼らを“野獣”にしてしまったのか?そういう問いかけを最後に残したいと思いました。
ジテ:この「美しき野獣」というのは、人間が持っている感情がたくさん表されている映画です。そしてヒューマンドラマが生きていて、その中には家族愛もあって…。ボディー映画といいますがアクションが盛り込まれた映画です。ひとつのジャンルの形として確立されていたような感がします。エンディングに関しては決まりきったものではなく、何か新しい形で枠を打ち破れたように思います。ですので私はエンディングに関しては、とても愛着を持っています。オ・ジヌ(ユ・ジテ)が最後にカンジン(ソン・ビョンホ)にいった言葉「最後にすべてを手にしてどんな気分だ?」と問いかけるセリフが非常に気に入っています。エンディングに関していろんな論争になっていることは知っています。でもそれは気分のいい論争です。ただ残念なのは、エンディングはもう少し長く撮っていたのに、編集で短くなっていたのは残念でした(笑)。
Q・撮影して苦労した点と、一番見てほしい点は?
ジテ:映画を撮るときはどんな作品であれ苦労というのはつきものです。今回の作品でも毎カットごとに苦労の連続でしたが、監督やサンウさん、川井憲次さんと一緒にお仕事ができて本当に幸せな思い出がたくさんできました。今回この映画を撮っていた中で、私たちが一生懸命努力した時間…これは本当に満足できるものでした。ですからもう一度満足した映画でお会いしたいと思います。
ここで突然、報道陣にまぎれてお笑い芸人“POISON
GIRL BAND”のふたりが「美しき野獣」のチャン・ドヨン、オ・ジヌのコスプレをして質問!会場からは笑い声が…。
Q・役作りで大変だったことは?
ジテ:今回は、背広をどうキレイに着こなそうか迷いました。どんな役でもキャラクターに合った衣装というのがあると思います。また、どのくらいの体重にするかということもありますが、オ・ジヌ検事がどのような衣装・体重にするのか苦労しました。もっと詳しい話は同じ衣装(コスプレ)を着たもの同士、あとで焼酎でも飲みながら話しましょう(笑)。
監督:衣装を着てくださった方、こんど私の次回作にはカメオ出演で出てください(笑)。
Q・ユ・ジテさんは、はじめ10kg太ろうとしていたようですね?役についてはどのような分析をしていましたか?
ジテ:この役の設定では30代半ばから40代のはじめでした。サンウさんと私は同い年でしたが、映画の中では検事のほうが刑事よりも年上ということで、重厚な雰囲気を出すために、中年太りのような感じで最初は10kgぐらい増やして撮影に臨みましたが、だんだんやつれた部分も表現したかったので体重を減らしました。
中年で太っているという風に見せたかったのですが、見たところただ太っているようにみえてしまったのであわてて一生懸命体重を落としました(笑)。
Q・最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
監督:この作品が日本で公開することができ、またたくさんの人に関心を持ってもらい、初監督作品としては本当に光栄ですし、今幸せな気持ちです。日本の観客の皆さんもこの映画にいい印象を持って、感動をたくさん味わってほしいと思います。この映画は男性的な映画に見えるかもしれませんが、本当にいろんな要素を持っています。男性でしたら、男としての人生をもう一度考えることができると思いますし、女性は母性本能がくすぐられるような感性が盛り込まれているので、その部分を日本の皆さんに伝わっていただけたらと思います。
ジテ:この映画に出てくる母の姿というのは、監督の実際のお話に反映されているところがあります。ですから、この映画の最後のテロップには、“この映画を母に捧げる”という内容が入っていました。この映画は、男性の部分が強調されていたり、アクションが華やかだったり、チョン・ドヨン(クォン・サンウ)、オ・ジヌ(ユ・ジテ)、ユ・カンジン(ソン・ビョンホ)の生きざまが野獣のように描かれている部分もありますが、実はその裏には家族愛が深く描かれています。ですので、男女問わず老若男女皆さんが楽しめる映画だと思います。
この場にサンウさんが遅れてしまってこの場にいられないのが残念ですが、皆さんそのことはあまり気になさらずに…。
この後、フォトセッションに移ろうとしたその時、なんとクォン・サンウが会見に間に合いステージに登場!会場からは拍手が起こり、フラッシュの嵐、嵐、嵐!
クォン・サンウ(以下、サンウ):皆さんお会いできてとても嬉しいです。今日は朝起きた段階で少し体調が悪くなってしまいまして遅れてしまったことをお詫び申し上げます。
Q・この映画に出演した感想をお願いします。
サンウ:やはり自分自身が出演した映画はそれぞれに意味がありますし、記憶にも残りますが、特にこの「美しき野獣」は、ユ・ジテさん、キム・ソンス監督、映画監督の川井憲次さんと一緒に仕事ができて嬉しかったです。今まで過去に女優さんと仕事したときよりもむしろ幸せな気持ちで素直に取組んだ映画です。約6ヶ月間の撮影を経て、その間自らの身体も酷使してスタントなしでアクションに臨みました。皆さんにぜひ本当のアクションをご覧いただきたかったので、私としても体力的に苦労しましたが、非常にいいものとして記憶に残っています。とても水準の高い映画だと思いますので、ぜひ皆さん足を運んでください!
〜会見を終えて〜〜
最後の最後に遅れて登場したクォン・サンウは、ユ・ジテと目を合わせると“間に合った〜”という表情を浮かべ、笑顔を見せてくれました。ユ・ジテもホッとしたのか、目じりがさがりっぱなしでした。やはり、二人そろってこそ“美しき野獣”!この同い歳のふたりが共演した息をのむアクション映画を、どうぞお見逃しなく!
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