| Q・主演に元godのユン・ゲサンさんや子役として活躍してきたキム・ミンジョンさんを起用したのはなぜですか?
今回は高校3年生を演じなければいけなかったのですが、そうかといって高校3年生を演じられるプロというのはそうはいません。ですから当初から新人を起用するつもりでした。特に制限がないので自分の頭のなかで自由にキャスティングを考えることができました。ユン・ゲサンさんはTVなどでも顔をみていて非常に顔に表情があるので以前から演技をすればいいのになぁと思っていて、逆にユン・ゲサンさんのファンには失礼かも知れませんが、歌手としての才能はどのくらいあるのだろう?演技のほうがいいのでは?とそう考えましたし、演技に関してはすごく出来る人だと思っていました。
オーディションをする際に特定の人を選んでいるわけではなくて、多くの人にシナリオを全部渡してキャスティングは考えますから、あらかじめこの人はどういう演技をするのか分からないので、ユン・ゲサンさんが本当にOKしてくれるか分からなかったですし、本当に演技をしてくれるのかどうかも分からなかったのです。ところがユン・ゲサンさんの方から“本気で演技をするんだ”
“本気で俳優になるんだ”と自ら決心を固めてくれました。でも実は最初に会った時に彼をビビらせてしまったんです。私が言ったのは“趣味でやってみよう”と思ったらそれはやらないのと同じことで、“本気でやる気があるのか?あやふやな気持ちだったらやらないほうがいいよ”と。でも実際にやめちゃったらどうしようと思っていました。その後ユン・ゲサンさんからメールをもらって、そこには赤く大きな字で“自分プライドに賭けても頑張ります。本気です”という返事をもらいました。決定してから撮影に入るまでひと月かふた月ありましたが、その間毎日ユン・ゲサンさんと会っていたように思います。そして夜中まで話し合うこともありました。ユン・ゲサンさんは本当に一生懸命やってくれたし、本当にいい俳優になったと思います。軍隊にいって返ってきてからも本当に立派な俳優になっていると思います。
キム・ミンジョンさんについては、私から見ると優等生的というか、決まりすぎている感じがしたので、そこを今回の映画では壊さなければならないと思ったんですね。逆に彼女が一生懸命演技しているところを横でくだらない冗談をいって、決まりきった感情を崩しちゃえ、型に入っているものを破ってしまおうと気を遣いました。ユン・ゲサンさんの場合は演技に集中させる、逆に、キム・ミンジョンさんはボーッとしている表情とかを撮りたかったので二人に対する演出はまったく違うものにしました。男女の違いもありますが、お互いに競争心を持って演技をしてくれました。
Q・父親と息子がキャッチボールをするのが印象的でしたが、なぜキャッチボールを?
どういうシーンにしようかいろいろ悩んだんですが、父親役の役者さんからはお互いの拳で殴りあおうという意見も出ましたし…。私が考えたのは単純な“力比べ”をしようと。力比べをすれば歳をとった父親のほうが負けてしまいますが、単純な力の比べあいのほうがいいと思ったからです。またキャッチボールの雰囲気も好きなので選びました。
Q・なぜ若い人の映画に“バレエ”の要素を入れたのですか?
高校三年生の最後の夏休みに子供たちにとって現実にはまったく役に立たないのにすごく熱中する…そんなシチュエーションがほしかったのです。それも町の公民館のようなところで町内のおじさんおばさんと一緒に習うというシーンを入れたかったので。またうまくできたうまくできない…それが勝ち負けではない世界を撮りたかったんです。そういうことでバレエを選んだのですが、もうひとつは男の子にタイツをはかせたかったんです(笑)
でもユン・ゲサンさんがあんなにバレエがうまくできないとは……。うまく踊れないのは本当のことでgodでももっとゲサンがうまく踊れたらうまくいったのに(笑)
撮影の現場では夕方に撮影が終わるとそれ以降はバレエのトレーニングに向かいます。ですから役者さんにとっては大変だったと思います。ユン・ゲサンさんの場合は主役ですから撮影の量も多いですし、その分バレエのトレーニングが短いのでなおさら大変だったと思います。
冗談でユン・ゲサンさんに話したのは“演技を選ぶか?ダンスを選ぶか?”とたずねたら“演技にします”という答えが返ってきましたね。実際映画の中でもバレエがうまくない青年役だったのでいい意味でリアルな表現ができたと思います。
Q・実際どのくらいバレエの練習をしたんですか?
撮影が始まる前に2ヶ月間、始まってからはその都度、最後のダンス公演シーンでは1週間撮影をとめてその1週間集中して練習させました。
Q・署名を集めてマンションから病人を追い出すシーンがありましたが、その意味は?
あのシーンで表現したかったことは、韓国でお金持ちではない普通の中流の人たちが唯一もっているのは不動産なんですね。そういうことから中流の人が持つ強迫観念を表現したかったのです。彼らが利己的な人たちだと断罪するのではなくて彼らをそういうふうに追い込んだ韓国の社会の現状、人々を不安な気持ちし保守的にしている韓国社会を描きたかったのです。
Q・韓国での女性の監督の活躍ぶりについてどう思いますか?
単に女性の監督が数として増えただけではないと思います。監督にデビューする方式が変わってきています。昔はある程度下積みを長くやって監督になる人が多かったんですが最近はシナリオが良かったり、映画学校出身の人が出てきたりして女性の監督が増えてきたのかも知れません。
Q・次回作はどうお考えですか?
今シナリオを書いているところです。貧しい男性と貧しい女性のじめじめとした物語です。
来年の5月ごろにはクランク・インできるように準備中です。
Q・キャスティングは?
自分の希望通りのキャスティングになるわけでもないですからね…。でもこの「僕らのバレエ教室」の場合は、構想のなかでもしこれがユン・ゲサンさんだったら?と思いながら進めてきて、本当に実現しました。
韓国の評論家に“ジョン・ヨンジュ監督の作品はラグビーボールのようだ”と言われました。新作を作るときに前の作品のイメージは捨ててしまうので本当にさまざまな物語になるからです。ですから「僕らのバレエ教室」を撮った後も、次回作はまったく違う作品になると思いますよ。
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インタビューを終えて
ビョン・ヨンジュ監督とユン・ゲサンとの交流秘話は、本当に貴重なお話でした。ユン・ゲサンはこの映画をきっかけに俳優として一皮むけたようですね。除隊後も再度ビョン・ヨンジュ監督とタッグを組んで欲しいです。
『僕らのバレエ教室』
シネマート六本木にて2006年春公開予定
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