1959年にはフランスの名優ジェラール・フィリップが、そして1988年にはジョン・マルコヴィッチが演じたあの役を、ドラマ『冬のソナタ』で日本でも大ブレイクしたあのペ・ヨンジュンが演じる、ということで公開前から日本でも注目を集めていた作品。韓国では公開4日間で動員110万人を超え、韓国映画史上の新記録を刻んだ。
原作は1782年に出版されて以来、時代を超えて何度も映画化されて来たピエール・ショデルロ・ド・ラクロの『危険な関係』。書簡体で著されたこの作品は、フランス18世紀の華やかな上流社会を背景に、手練手管に長けた野心に燃える若者と、その若者を利用し自身の欲望を満たそうとする狡猾な公爵夫人が巻き起こす愛憎に満ちた賢覧豪華な「恋愛ゲーム」の物語である。
この物語を、アジアで初めて映画化したのがこの「スキャンダル」だ。成熟し倦怠感さえ漂う華やかな18世紀の貴族社会を背景にしているのは原作のままが、この作品はその舞台を李氏朝鮮時代に設定している。本国では‘韓国初のコスチュームドラマ’と銘打たれているが、もし日本でも公開されることになれば、知られざる韓国の豊かな宮廷を堪能できる初めての映画となるだろう。
そして、単に貴族社会を風刺するという視点から離れ、己の欲望のままに愛し裏切るエネルギーに満ちた若者を‘時代を先取りした存在’としてユーモア交じりに描こうとしている点も新しい。
その妖しい魅力と才気に溢れた青年を演じるのがペ・ヨンジュン。1959年ロジェ・バディム監督作では、当時フランス一美しい顔と称された名優ジェラール・フィリップがこの役を演じた。奇しくも、これまで柔らかな物腰と繊細さでファンを魅了して来たペ・ヨンジュンがこの役を演じるというのも‘歴史は繰り返す’なのだろうか。
内に秘めた煮えたぎる嫉妬と欲望、野心を彼がどう演じ切るのか、ファンには大きな見所だろう。他に、『情事』で成熟した女性の心の葛藤を表現したイ ミスクや、映画デビュー作『接続』以来意欲的にタイプの違う役柄に挑戦してきたチョン・ドヨンが出演、芸達者が揃う。
又見所と言えば、本作品の大きな魅力となっているのが衣装だ。朝鮮時代の黄金期を現代に蘇らせたのは韓国の有名ファッションデザイナー、チョン グホ。全ての衣装が彼の直接のデザインにより、その数は120着に及ぶ。登場人物の性格や感情は色彩によっても表現されており、なにより彼が心を配ったのは、「韓服(韓国の伝統衣装)はどれをとってもあまり変わり映えがしない」という通念を打破することだったという。クラシックな品格はそのままに、しかしより華やかに、これまでの史劇では見られなかったモダンな色彩の世界がこうして誕生した。
<ストーリー>
政治の中枢を担う貴族(両班)の夫がありながら、数々の男達との情事に耽るチョ氏夫人(イ ミスク)と、そのいとこで、才能に溢れながらも官職に就くことを拒み、女性遍歴を重ねる若者チョウォン(ペ ヨンジュン)。かつて惹かれあった初恋の間柄でもある二人が、新たな恋愛ゲームに乗り出すこととなる。
ある日チョ氏夫人は、夫の幼い愛人ソオクを堕落させるため、チョウォンに彼女を誘惑するよう依頼する。しかし、彼の専らのターゲットは9年間貞節を守って来たスク夫人チョン氏。チョウォンは、チョ氏夫人から「成功の暁には自らとの関係を承諾する」と持ち掛けられ、賭けに打って出る。
これまでの経験から培った手腕を用い、スク夫人陥落をめざすチョウォン。しかし、精錬潔癖で学問に通じ、庶民を助けながら生きる信念の女性・スク夫人にはなかなかその罠が掛からない。そうなるとますますチョウォンの欲望は燃え上がるのだが…。
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