【CAST】
■アンドロイドに恋した特別捜査官......R(アール)
年齢:25歳。
職業:無断離脱したアンドロイドを除去する特別捜査官。
性格:反抗的でシニカルだが、アンドロイドのリアにだけは優しさを見せる。
ユ・ジテ
1976年ソウル生まれ。檀国大学演劇映画科卒。学生時代からモデルやダンサー、CM出演など芸能活動を始め、『バイ・ジュン』(98)で映画デビュー。翌99年の『アタック・ザ・ガス・ステーション!』で演じた寡黙なアーティスト役で、若い女性を中心に人気が爆発、一気にスターダムに駆け上がった。2000年の『リメンバー・ミー』『友引忌-ともびき-』『リベラ・メ』はいずれも大ヒットを記録、同年、第21回青龍賞人気スター賞に輝く。01年の『春の日は過ぎゆく』では、年上の世慣れた女性に真摯な愛を捧げるナイーヴな青年を演じて多くの女性ファンの心を虜にする。また、02年には中央大学芸術大学院映画科演出専攻に入学し、脚本と監督をつとめた短編映画『自転車少年』(03)を発表(釜山国際短編映画祭で観客賞を受賞)。さらに語学研修のため数ヶ月日本に滞在するなど、俳優の枠に収まらない意欲的な活動を続けている。03年には本作に加え『鏡の中へ』と、主演作が2本公開。カンヌ映画祭グランプリ受賞作品『オールド・ボーイ』(04)の冷酷な復讐鬼役で、日本でも強烈な印象を残したばかり。本作『ナチュラル・シティ』では、キャラクターになりきるため髪を短く刈りこみ、アクション・スクールでの6ヶ月もの特訓で磨き上げた精悍な肉体によって、愛する女を守り通す男らしさを見事に体現している。公開待機作はホン・サンス監督「女は男の未来だ」(原題)、「南極日誌」(2005年8月公開予定)。クォン・サンウと共演するという「野獣」(原題)など。
■人間に恋したアンドロイドのショーガール......リア
年齢:2歳11か月15日。残された命は、14,400分。
職業:クラブ・ライハで踊る、アンドロイドのショーガール。
性格:悲しい状況でもつねに笑顔を絶やさないようプログラミングされている。身に着けた端末には、残された命を象徴するアドニスの花がいつも映っている。
ソ・リン
1975年生まれ。ソウル芸術大学演劇科卒。1998年のSBS TV8期タレントとして芸能界に入る。映画デビューは、2001年の「アイラブユー」。続く『ロードムービー』(02)は日本でも公開され、強烈かつイノセントな演技で、評論家からもファンからも熱い支持を受けた。本作のリア役は、200人を超える候補者の中からオーディションで射止めたもの。透きとおるような肌にすっと通った鼻筋、潤んだ大きな瞳は、まさにアンドロイドの美女そのままである。役作りのため、押井守の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(95)などを参考に、人造人間の持つ感情という難しいバランス感覚を研究したという。また、泳げないにも関わらず、水面下10mで5時間以上に及んだユ・ジテとのラブシーンの撮影に耐え抜き、女優魂を見せた。
■瓦礫の街で希望をはぐくむ女......シオン
年齢:22歳。
職業:スラム街の占い師、娼婦。
性格:気が強い印象を与えるが、内面はか弱く脆い。
イ・ジェウン
1980年生まれ。同徳女子大学放送演芸科卒。女優歴は長く、5歳のときにはすでにテレビドラマやコマーシャルで才能を発揮。1999年には子役のイメージを見事に脱却し、過激な描写が話題を呼んだ主演作『イエローヘア』(99)でヌードを披露し、10代とは思えぬ演技力を見せて青龍賞と大鐘賞で新人女優賞を受賞。大胆な役柄や汚れ役もこなす、韓国映画界のホープである。今回のシオン役は、ジェウンの力強い演技力が評価され、監督が撮影開始直前になって台本を変更、より重要な役回りに変えたほどだ。当初、監督は彼女が『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のヒロインに似ていることから、リア役として彼女を考えていた。だが会って数分後には、シオン役にキャスティングすることを決めたという。本作以降の出演作には、「オグ」(原題)、「DMZ」(04)がある。
■友情のために命をかけるMLPC隊長......ノマ
年齢:28歳。
職業:離脱アンドロイド除去の責任者であるMLPC隊長。Rの友人。
性格:理性的で責任感が強く、友情に厚い。
ユン・チャン
1972年生まれ。檀国大学演劇映画科卒。ミュージカル「明成皇后」などで活躍。映画出演は、『友へ チング』(01)、「...ing」(03)、本作『ナチュラル・シティ』。ミン監督はユン・チャンの熱烈なファンで、自身のミュージックビデオ「21世紀モノリス」にも登場させ、『ナチュラル・シティ』への出演もオファーした。舞台での活動がメインだったユン・チャンは、映画界で助演級の役を張るなど自分には話が大きすぎるとしていったんは辞退したが、最終的に監督の熱烈な説得により、ノマ役を引き受けた。華麗なアクションシーンを見せてくれるチャンだが、8キロ以上もある軍の装備を身につけた上にワイヤーを装着した演技は困難を極めたという。2004年の出演作は『マイ・リトル・ブライド』「顔のない美女」(原題)など。
【STAFF】
ミン・ビョンチョン/監督・脚本
1969年ソウル生まれ。弘益大学視覚デザイン学科卒。
数多くのCMや、2800本を超えるミュージック・ビデオの編集に携わってきたミン監督の最大の持ち味は、スタイリッシュな映像センス。14歳から8mmビデオで撮影を体得し、高校時代にはすでに映像に関わることを志していたという。大学在学中からミュージックビデオやドキュメンタリー番組の現場で活動し、92年に、障害者たちの富士山登頂を描いたSBS(ソウル放送局)のドキュメンタリー、「残り2メートル」を演出、同年のドキュメンタリー部門大賞を受賞する。ADや93年にKBS(韓国放送公社)の音楽情報番組「地球村映像音楽」のプロデューサーを務め、映画製作会社シンシネの協力を得て95年に短編映画『モンゴリアン・フード』(弘益映像祭演出賞受賞)、96年にミュージックビデオ「21世紀モノリス」、翌97年には35mmのミュージックビデオ「朱色の文字」「唇」の演出を担当し、映像界での注目を浴びる。なかでも「21世紀モノリス」は、当時先例の無かった特殊効果を大胆に取り入れ、暗黒の未来社会を描写した、『ナチュラル・シティ』を予期するかのような作品となった。その後、テレビドラマ「白夜3.98」(98)では特殊撮影監督を、「ゴースト」(99)では演出を務めた。そして、韓国で始めて潜水艦を描いた大作『ユリョン』で、満を持して映画監督デビューを飾り、大鐘賞新人監督賞を受賞。本作では、科学的な予測と監督自身の自由なイマジネーションを盛り込んだという。さらに、『スター・ウォーズ』新シリーズで採用された100%デジタル製作を韓国で初めて採用、映像の新たな可能性を切り拓くと同時に、荒廃した未来都市の風景を緻密に構成することによりRとリアの古典的な純愛を際立たせることに成功している。
イ・ジュンギュ/撮影監督
『灰色都市II』(89)など10作品で撮影監督助手を務めたのち、1993年に渡米、ロサンジェルス・シティ・カレッジ映画学科で撮影を学ぶ。韓国に帰国後はBITコミュニケーション社で撮影監督として活躍し、200本以上のテレビコマーシャルを生みだした。本作は撮影監督として初めての作品。美しい自然のなかに無垢のイメージを投影させるその感性は、昨年日本でも大ヒットした長編第2作『ラブストーリー』(03)でも惜しみなく発揮されている。
イ・ジェジン/音楽
バークリー音楽大学を卒業後、『ペパーミント・キャンディー』(98)で音楽監督を担当。『ラブ・レター〜パイランより〜』(01)『オアシス』(02)『ラブストーリー』(03)、では、現実と空想との狭間をたゆたう音楽によって画面にそこはかとない詩情を漂わせ、観客の涙を誘った。『ナチュラル・シティ』では現存するポップソングを使用することはせず、楽器の奏でる優雅なハーモニーも美しい、オリジナル曲を制作。曲に込めた情感を余すところなく表現するため、名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団による演奏が実現させた。ほかに『天国からの手紙』(03)、公開待機作品には、ハン・ソッキュと故イ・ウンジュ共演の話題作『スカーレットレター』(04)がある。
チョン・ドアン/特殊効果
爆発物を使った特殊効果では、韓国でチョンの右に出る者はいないという。『ユリョン』(99)『シュリ』(99)『JSA』(00)『リベラ・メ』(01)『ブラザーフッド』(04)などの作品で、卓越した才能を発揮して毎回数々の賞を受賞。本作ではアンドロイドとMPとの戦闘シーンや、アンドロイドの製造ライン、軍用ヘリコプターの爆発シーンなど、ドアン自身の持つノウハウのほとんどをつぎ込んで迫力の映像を展開させ、大鐘賞映像技術賞に輝いた。
武術指導、スタント・コーディネーター、出演(離脱アンドロイド・サイパー役):チョン・ドゥホン
1966年生まれ。仁川体育専門大学武道科卒。テコンドー4段、合気道5段。「韓流アクション」の創始者とも呼ばれる、武術スタントの第一人者。大学時代から、アメリカ、日本、メキシコなどでテコンドーを教え、90年、「将軍の息子」のスタントマンとして映画界入り。『シュリ』(99)『MUSA─武士』(01)『チャンピオン』(02)『シルミド』(03)『ブラザーフッド』(04)など、アクション監督として膨大な数の作品にクレジットされている。『ナチュラル・シティ』では、スタント・コーディネーターと武術指導を担当。脅威的な戦闘力を誇る離脱アンドロイドのサイパー役で助演を果たしている。現在、本作の役作りのためにユ・ジテの訓練も行われたソウル・アクション・スクールの代表を務める。
【INTERVIEW】
ミン・ビョンチョン監督 Byung-Chun MIN インタビュー
Q:『ナチュラル・シティ』の製作プランは、いつごろ固まったのですか?
『ユリョン』の完成直後です。SBSで放映されたドラマ『ゴースト』の台本を書き終えたあと、すぐ『ナチュラル・シティ』の脚本に取りかかりました。ですから、アイディアが生まれたのはざっと4年前になります。2年前、TUBEエンターテイメントのキム・スンボム社長に会って、1時間ほどこの映画の話をしたところ、すぐその場で出資を決めてくれたんです。主演にユ・ジテを確保するのにも尽力してもらいました。その後、脚本には、第一稿から200回ほど手を入れました。
Q:『ナチュラル・シティ』をひとことで言うと?
愛についての映画です。もっと狭い意味では、孤独についての映画。孤独にもいろいろありますが、この映画の場合、自分以外だれにも頼ることのできない男の孤独を描いています。
Q:なぜ哀しい結末を迎える愛を描こうと思ったのですか?
数年前、私は情緒的にも金銭的にも、いままで経験したことがないほど、どん底の状態でした。そんなとき、ペットの犬が死んでしまったんです。どんなにつらかったか、言葉ではとても言い表せません。悲しみに打ちひしがれてしまって、丸一週間何も手につきませんでした。でも急に、はっと気づいたんです。あの犬のおかげで、自分がこれまでどれほど慰められていたかっていうことにね。それに気づいたことで、『ナチュラル・シティ』の主題となっている愛の物語が自然と生まれてきました。
Q:では、SF映画にしたのはなぜ?
昔からSFが好きということもありますが、『ナチュラル・シティ』をSF映画にしたのはそれだけが理由ではありません。今にも終わってしまいそうな愛を描くのに、SFというジャンルが一番しっくりくるという気がしたんです。でも結局、ニワトリが先か卵が先かという議論と一緒で、何が最初のきっかけとは決められませんけどね。私にとっては、三角関係という『ナチュラル・シティ』のもの悲しいストーリーを語るのに、SFという設定がぴったりきたというだけです。
Q:2080年の未来都市を創りだすにあたって、念頭に置いたことはありますか?
たとえ科学者が言う予測とは違っていても、私個人が「未来のソウルはこうであってほしい」と思う街を創ることにしました。私はバックパッカーとして、相当あちこちの都市を旅行してきています。こんなことを言うのは残念ですが、ソウルは私が知っているなかでも一番魅力のない都市なんです。ですから、2080年にはこんなふうだったらいいなという街に、ソウルを変えてしまうことにしました。たとえばこの映画では、すべてのビルに瓦屋根がふいてあります。大昔の韓国の石塔にあるみたいなやつですね。人間がアンドロイドを奴隷化した社会、空中を車が飛び交い、人々がスペースシャトルで宇宙旅行をし、エキゾチックな建物が密集する、そんな都市を創りたかったんです。
Q:ハリウッドのSF映画と一線を画すところは?
最先端技術があって、システムも確立されているハリウッドと比べたら、競合できるようなSF映画を作るなんて事実上不可能ですよ。でも『ナチュラル・シティ』には、ハリウッドのSF映画にはないものがあると思います。新しい発想から生まれた工夫です。この映画ではやりたいことが山ほどあったんですが、実際撮影を始めてみると、私がやりたかったことをすべて実現するのは、技術的に無理だとわかってきました。そこで発想を転換することにして、特殊な技術が必要になるシーンはなるべく減らし、むしろよそでは見ないような独自の映像を創りだすことに力を注ぎました。そんなユニークな映像の一つが、宇宙船ムヨガです。
ムヨガは映画全編を通じて、鍵となる重要なメタファーとして機能しています。そこで、ムヨガが現れるシーンには技術的な粋を集めるかわりに、その他のシーンでは特殊効果の使用を極力抑えるようにしたんです。つまり、特殊効果を見せるためだけのエピソードや状況は作らなかったということです。それと、この映画では、なるべくオリエンタルな要素を取り入れようと思いました。ハリウッドのSF映画とは違う路線を打ち出したいと思ったら、まずそれが一番ですからね。セットや衣装でオリエンタルな雰囲気を創りだすのはそれほど難しくなかったんですが、本当に大変だったのは、ストーリーにオリエンタルな情感を持たせることでした。製作に入る前に、個人的にナノテクノロジーや生体機械工学の勉強を山ほどしたんですけど、こういった科学的な理論にオリエンタルなテーマをからめるのは、まず無理ですよね。ですから、ハリウッドのSF映画ではあまり見られないような、愛についての物語を作ることにしたんです。ハリウッドの人が見たら、変な映画だなと思うかもしれませんけどね。
監督・脚本:ミン・ビョンチョン(『ユリョン』)
撮影:イ・ジュンギュ(『ラブストーリー』)
音楽:イ・ジェジン(『オアシス』『ペパーミント・キャンディー』)
CG:メカド(『シュリ』)/特殊効果:チョン・ドアン(『シュリ』『JSA』)
出演:ユ・ジテ(『春の日は過ぎゆく』『オールド・ボーイ』)、ソ・リン、イ・ジェウン、ユン・チャン
原題:NATURAL CITY
2003年/韓国/114分/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSR/日本語字幕:寺尾次郎
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公式ホームページ:http://www.natural-city.jp
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