2002年9月15日(金)に渋谷にあるNHK放送センター本館7階にある国際放送局A会議室で、「正しい韓国語 きれいな韓国語」と題して韓国語特別講習会が開かれた。講習会は当初はNHK内のアナウンサーむけに企画実行されていたものを、一般の方々にも受講してもらいたいと昨年度より年1回のペースでもよおされており、今後も継続していく考えだ。講師はKBSアナウンサー室韓国語研究部研究次長のベテランアナウンサーの李美善(イー・ミソン)さんが勤めた。昨年は50名の参加者があり、今年は群馬韓国語研究会、群馬ハングル愛好会で会長を務める群馬大学の韓国語講師、櫻井正明氏など、韓国語教育にたずさわる専門の方々もこの講習に参加した。 |
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教材にはNHK国際放送局韓国語放送班教材「KBS韓国語アナウンサー教本(KBSアナウンサー室韓国語研究会発行)」が使用された。日本人にとって、韓国語はアクセントと抑揚が一番難しく、全体的にとらえれば平らなイントネーションでしゃべればよいと言われているが、それすらもなかなか難しい課題だ。
中国語には4声の発音形式がある。韓国語はもともと4声だったものが時代の変遷により現在は2声が残っている。実際には同じ綴り文字でも短く発音する短音、長く発音する長音の2つに別れており、長音に関しては高く発音するものも存在する。このような言葉は韓国語のなかでおよそ15,000語存在するといわれている。李美善アナウンサーは「字(チャ) 高(ゴ) 低(ジョ)」の法則にのっとり音やリズムを守って発音することが正しい韓国語を話す基本であると訴える。ためしに法則を全く無視して教本のニュースを朗読してもらったが、「法則を守らないことでかえって読みづらい」と苦笑していた。朗読を聞いている受講者は、法則を守って発音し、朗読してもらったほうが一つ一つの単語の意味が聞き取りやすく、ニュース記事全体の意味も理解しやすいという印象をうけたようだった。 |
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同じ漢字に存在する短音と長音(「長」や「強」など。) |
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長音、長期の「長」は短く発音する。長官、長男の「長」は長く発音する。 長く発音する場合は例えば、長官という文字の場合 「長」を2に対し「官」を1の割合の長さで発音するのがよいとされるが、若者の間ではこの比率が1.5:1に早口化されている。「大」という字は長音であるが、例外的に「大田」「大邱」などの地名の場合は短音で発音される。 |
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短音: 玄 弦 絃 原 先など |
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長音: 現 遠 善 競など |
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「景」は、宮中関連用語で建物等の名前ででてくる場合は長音で発音する。
「将」は、軍隊の階級用語で使われる場合は長音で発音する。 |
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長音+高音: 政 正 頂 定 処 免など |
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アクセントに関しては、
1)最初の音が長音の時はその音にアクセントがくる。
2)短音の場合、パッチムがあれば前のほうにアクセントがくる。
3)最初が母音のときは後ろにアクセントがくる。ウユ(牛乳)の場合は「ユ」にくる。
4)三音節語で二音節目の語が重い音節でなく、三音節目の語が重い音節の場合は
二音節目にアクセントがくる。例えばソラボル(徐羅伐)は2番目の「ラ」にくる。
5)濃音と濃音がかさなる場合は最後の濃音もしくは激音の前の音節にアクセントがくる。 |
等々の指導があった。
これらアクセントの鍛錬に関して3年ほど前にKBSの韓国語研究部の協力で標準語アクセント辞典が発行され、KBSのアナウンス部ではこの辞典を活用しているそうだ。
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その他、李美善アナウンサーの体験的話として、彼女が担当しているラジオ番組の「ウマギ(音楽の)サンチェク」(KBS FM第1 9:00〜11:00)という言葉は、サンチェクの「サン」を長音で発音すれば「散策」という意味になるが、「サン」を短音で発音すれば「買った本」というおかしな意味になってしまうし、韓国人の名字である「丁」「鄭」は同じつづりであるが、「丁」は長音で、「鄭」は長音+高音になるので発音が微妙に違うと語った。韓国語で外国語を発音する場合、表記と読みがほぼ一致するのは、イタリア語が90%に対し、逆に英語とフランス語は90%が一致せず、他の外国語もあわせてみると、韓国語での外国語表現がおよそ45%も違うのが現実だそうだ。
講座終盤に現代韓国における言葉の乱れに関して下記のようなことが指摘された。
1)若者の間にみられる濃音化傾向
2)一般人の70%が、主人のことを「○○アッパ」恋人のことを「オッパ」と呼んでいる。アッパはもともとの意味は「おとうちゃん」オッパは「お貴兄さん」(女性からみた年上の若い男性の呼び方)だ。
3)若い人たちは平叙文でも疑問文のように語尾を上げて発音しており、これは英語の過剰教育が原因ではないかと疑われている。
受講者からは、現在注目の話題でもある「北朝鮮の言葉」について、韓国語とどのような違いがあるのか、特に人名のR音(リウル)について、韓国のTVで北朝鮮の要人の名前をあげる場合は「李」は「リー」か「イー」か、「羅」は「ラー」なのか「ナー」なのか?といった質問がでていた。
講習会後の懇談会には、日本における韓国語教育の大御所である金裕鴻先生がかけつけて
くださり、今回の講習会で韓国語学習のさらなる奥の深さに対する認識と、学習者、教育者ともにいっそうの研究と精進が必要だと痛感するとても意義のある会になった。
KBSのホーページでは韓国語による、韓国語についての質問のうけつけをしているとのこと。
<KBSアナウンサーコーナー相談室>
http://www.kbs.co.kr/announcer |