| 今回、K−PLAZA.comさんのご厚意により、エッセイを連載させていただく事になった、りょう子です。サイパンに移り住んでもうすぐ9年になる、在日韓国人です。サイパンでの日々の生活を通じて感じる事を思い付くままに書いて行こうと思います。エッセイを通じて、韓国、日本、サイパン、在日・・・をキーワードに色んな出会いが広がっていけばいいなと思います。よろしくお願いします!連載第一回目という事で、何をお話しようかと迷いに迷いましたが、まずはサイパンならではの食文化のお話です! |
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サイパンに住んで9年になろうとしているが、この島はつくづく面白い島だと思う。住みやすいかどうかは別にして、こんな小さな島にありとあらゆる人種が共存してる。
ローカル原住民(正式にはチャモロ、カロリニアン)、グァム人、パラオ人、ヤップ人、トラック人、アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人、フィリピン人、韓国人、中国人、日本人・・・。私の回りの友人を思い出しただけで、ざっとこれだけの人種がいるのである。色々な国の人と付き合っていると、他愛もない日々の生活でも思わず「うひひ!」と笑っちゃうような事がよくあるのだ。
サイパンのリゾートホテル内には大概日本食レストランがあって、寿司ブッフェ(要するにお寿司食べ放題ですね。)をやってる所がいくつかある。お皿を持って、ブッフェの台の前にゾロゾロ立って行って(だいたい、ランチ時間のみのブッフェなので、とても込み合うのです。)回りの人のお皿を何となくのぞくといくつかのお寿司の横に白いご飯を乗っけてる人が多い。ご飯のおかずに寿司?いや、寿司のおかずにご飯?特に、何故かアメリカ人の大柄のおじさんに多いような気がする。単に寿司の食べかたを知らないのか、何となく寿司だけでは物足りないのか・・・。で、私はそういう人を見る度に「うへぇ〜、寿司とご飯だって〜。くすっ」と笑っちゃったりしてたのだ。しかし・・・。
先週、友人のエスター(台湾人だが、ダンナさまは韓国人で、彼女は韓国語も英語もペラペラ)が自家製・台湾式のマンドゥ(餃子)をごちそうしてくれるという事で、ランチにお邪魔した。彼女がキッチンで甲斐甲斐しく動き回った後、湯気を立てたおいしそうなマンドゥが山のようにテーブルに並んだ。テーブルに並んだものは、マンドゥとたれとコチュジャンのみ。ご飯はあとで出てくるのかなぁと一旦テーブルにつき、一つ二つ手を伸ばしたが、一向にご飯を出してくれる気配がない。待ちきれなくなって「ねえ、エスター、ご飯勝手にもらってもいい??」と聞くと、一瞬の沈黙のあと、「ごめん・・・マンドゥが好きじゃないなら言ってくれればいいのに・・・他のおかずもないのにどうしよう・・・」と心底困った顔をする。「・・・えっ!そ、そうじゃなくてね、あんまりおいしいからご飯と一緒に食べたくて・・・」エスターはまたもや絶句した後、突然ゲラゲラ笑い出した。「マンドゥとご飯〜??日本ではマンドゥ食べながらご飯も食べるの〜?すごいわね〜、グハハハ〜。」と豪快に笑われた。つられて私もぎゃはは〜と笑いかえしたが、寿司とご飯を食べるアメリカ人を笑った自分を思い出し、何となく頭を掻くような心境になったのだった。
以前私は、サイパンに程近い○○島という小さな島でマリンスポーツの申し込みを受けたり、韓国人、日本人ツーリストに案内をするという仕事をしていた。上司はみな日本人で、同僚は日本人、韓国人もいたが、ほとんどはローカルのスタッフだった。彼らは陽気で心優しいホントにいい奴らで、仕事を辞めて7年経つ今でも付き合いがある。
彼らは、仕事の合間をぬって毎日、魚釣りにいそしんでいた。いや、魚を追っかけながら合間に仕事してたという方が正しいかもしれない。海の中で、銛を片手に真剣な目で魚を追う姿はまさに言葉どおり「水を得た魚」だった。
そして必ずと言っていいほど、そのうちの何人かは誇らしげに針金のようなものに刺した魚を片手に、海からあがってくるのだ。彼らの本来の仕事は「観光客を楽しませる事」で、実際やる事といえば島を訪れる人々と楽しくおしゃべりしたり、ビーチマットやパラソルをビーチに運んであげたり、スノーケリングツアーに一緒に行って餌付け用のソーセージを手渡したり、というような事で本当に羨ましい限りの仕事だった。(私のやってた事もそれとたいして変わらなかったけど^^;)
当時は、「仕事もしないで、また釣り〜??」とあきれてみせたりもしたけど、誇らしく海から上がる姿を観光客のみなさんに見せ付けるという事で、充分彼らの任務を果たしていたのかもしれない。実際、太陽の光を全身に浴びて、水を滴らせながら色とりどりの魚を持つ様は、毎日のようにその光景を見る私の目にも時には何だか神々しくさえ写ったし、崇高な人を見るような感覚に陥った。
こうして調達された魚は観光客のバーベキュー・ランチ用に設置されたグリルで調理され、私たちのランチとなる。12時が近づいてくるとみんなソワソワしはじめる。時間差で1時からランチを取るパラオ人のデリーナは、妙に力の入った目で私をみつめてこういうのだ。「私の分、カナラズ残しといてね。」ランチの時間になると、みんなで一つの皿に言葉どおり「群がる」。まさに食べ物にたかる「ハエ」状態・・・。私もその中の一人だったけど、黒光りしてるおっさんたちがテーブルに群がる姿はまさにハエを連想させた。「ねぇ、君たちホントにハエみたいだよ。」と言ったらジロッとにらまれて「昨日はサルだかゴリラだかって言ってたけど、今日はハエか!グハハ〜。まあ一緒に食おうぜ〜!」といったノリなのだ。
彼らは箸やフォークなんか使わない。手づかみだ。みんな、指先で器用に魚の白身をつまんで、特製の醤油ダレにつけて食べるのだ。これがまたおいしいんだ〜。私ももちろんハエと化して一緒に群がる。つまんだ魚をしょう油につけて一口、山盛りのごはんのはじっこの方から、これまた指先で一口大にまとめて口に運ぶ。これを何度か繰り返すと、ついさっきまで海で泳いでた魚はあっという間に骨だけになり、それに群がってた黒い人々は魚の生臭い匂いをプンプン漂わせて、それでなくても年中妊娠6ヶ月のお腹を突き出して、満足げにそれぞれの持ち場に戻るのである。持ち場、というより、取りあえず海に浸かる。海に戻って仕事に取り掛かる、のではなく、魚臭い手と口をジャブジャブ洗いはじめるのだ・・・。そして、その後は食後の運動とばかりにお客さんを巻き込んでビーチバレーを楽しむ。ホントにいつ仕事するんだよ〜と突っ込みたくなるが、それが仕事なんだよね。
私はもともと魚が大好きで、お刺身はもちろん、フェドプパプ(韓国の刺身どんぶり)やヘムルタン(韓国の海鮮なべ?のようなもの)もよく食べるが、島で彼らと食べる魚は、私にとってとびきりのごちそうだ。今でもたまに週末なんかに子供たちを連れて島に遊びに行って、彼らに魚をごちそうになる。たまに何となく「魚、食べたいな〜」とつぶやくと、5才になるうちの長男もしみじみとため息をつくのだ。「マニャガハの魚っておいしいよね〜」
私が日曜ごとに通うキリスト教会では毎回、晩餐の儀式がある。ほんのちょっとの赤ワインと、一欠けらのパンのようなものを頂くだけだが、そこに居合わせた肌の色の全く違う人々が皆同じ物を頂いてると思うと、途端にその場に「連帯感」や「仲間意識」のようなものが生まれるから不思議・・・。相手の事をもっと知りたいと思ったり、ある人と楽しい時間を共有したいと思う時、「一つのテーブルで同じモノを食べる」というのが案外一番効果的な方法なのかもしれない。 |
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*誤解のないように申し上げておきますが、サイパンのローカルはいつも「手で」食べる訳ではないです。大概、箸やフォークを使ってます。でも、なぜ島で魚を食べる時は皆「手」なんでしょうねぇ。何となく野生の自分に戻ってる、というのがぴったりの理由に思えます。(笑)
*特製しょう油(チャモロ・ソース)のレシピを皆様にだけ特別にお教えします。(笑)しょう油にタバスコ、玉ねぎのみじん切り、レモン汁を混ぜるだけ。魚にも肉にも合うし、ホントにおいしいです。是非お試しください!
韓国人はタバスコの代わりに青唐辛子やわさびでアレンジしてお刺身につけて食べます。 |